■日時:2018年8月26日 カテゴリ:水素・燃料電池
 
【中国の水素・燃料電池産業スナップショット】
 
燃料電池と言えば日本では家庭用コジェネシステムのエネファームや燃料電池車ミライなどを聞いたことがある人も多いと思います。水素燃料電池産業は近年日本を筆頭として、欧州や米国で急速な盛り上がりを見せております。しかし、中国の燃料電池産業についてはあまり公表されている情報が少なく、中国の燃料電池産業の動向はあまり知られていません。そこでインテグラルではまだあまり知られていない中国の水素燃料電池産業について日本の皆様にお伝えするべく、詳細にリサーチを行っております。
 
今回は中国の燃料電池産業の開発状況が一目で分かるようにスナップショット形式にしてまとめてみました。
 
 
・中国の燃料電池産業は黎明期にあり
2017年末時点での中国における燃料電池車数は1901台となっています。車両は日本や欧米と異なり、全て公共バスか物流トラックなどの輸送車であることは中国の燃料電池車産業の特徴です。ある調査機関の調べによると、量産体制が整った条件下では一般に300km以下の走行では電気自動車(EV車)、300km以上の走行では燃料電池車がコスト面で優位であると言われており、これはバスや輸送車のように長距離走行が前提となる車両では燃料電池車が普及する可能性があることを示唆しています。個人的にも輸送車に関しては中国は都市間の輸送距離が長いため、燃料電池車がいっそう優位になる可能性があると考えています。
 
中国の水素ステーションは現在運行中のものが14箇所建設中のものが23箇所あります。因みに現時点での全世界における運行中の水素ステーションの数は328箇所あり、日本が100箇所で第一位、アメリカが61箇所で第二位、ドイツ45箇所、フランス15箇所に続いて中国は第5位となっています。建設中の水素ステーションも含めると中国はフランスを抜いて第4位になります。しかしながら中国のEV車を含む新エネルギー自動車の累計販売台数は2017年に52万台を超えており、それに比べると中国の燃料電池車のシェアは新エネルギー車全体の僅か0.3%を占めているに過ぎず、産業としてまだまだ黎明期にあると言えます。
 
広東(仏山市、雲浮市)、上海、如皋、武漢、北京・張家口が中国の燃料電池車産業の主要開発エリア
スナップショットを見て頂けるとお分りの通り、水素ステーションと燃料電池車の普及は広東、上海、如皋、武漢、北京・張家口に特に集中しています。中国中央政府は第13次五カ年計画や中国製造2025ロードマップにおいて燃料電池車産業を国レベルでの戦略的産業と位置づけており、各地方政府は中央政府の政策を遂行するべく独自の政策的支援を実施しています。
 
例えば広東省仏山市南海区では、同地区における水素ステーションの建設に対して最大800万元(約1億3000万円)の補助金を出したり、産業チェーンを構築するためのプラットフォームとして水素燃料電池産業パークを創設し、国内外の燃料電池関連の有力企業の入居を誘致したり、政府自ら出資し産業基金を設立し同パーク内の燃料電池関連プロジェクトに投資するなど様々な取り組みが行なわれています。
 
上海市は《燃料電池車発展計画》を公布し、2025年までに同地区で水素ステーション50箇所、燃料電池車2万台を達成し、2030年までに燃料電池産業チェーンの年間生産額150億元を超える目標を打ち出しています。
 
蘇州如皋市は国連開発計画(UNDP)の「水素経済モデル都市」に指定されており、多くの有力外資系企業が入居したり、国内外の燃料電池関連会社や学術組織から組織される国際的な産業連盟(IHFCA)が本部を置くなど国際色豊かな産業パークを形成しています。
 
武漢では2018年1月に《武漢市水素エネルギー産業発展計画》を公布し、国内最大規模となる投資額100億元超(1700億円)に上る燃料電池産業パークを2年以内に建設する計画を打ち出しています。
 
 
2030年までに水素燃料電池車1,000,000台生産!
中国中央政府は中国製造2025の《新エネ・省エネ自動車ロードマップ》にて中国における水素燃料電池車の累積生産台数を2020年までに5000台、2025年までに50,000万台、2030年までに1,000,000台を達成するなど、かなり野心的な目標を打ち出しています。これは2020年〜2025年で年平均成長率58%、2025年〜2030年で82%ものペースで成長することを意味しますが、現在各地方政府が打ち出している政策と開発速度を鑑みると、そのような高い目標も実現できてしまうかのように感じさせます。いずれにせよ今後の中国燃料電池産業の盛り上がりに注目です。
 
<2018年8月26日 INTEGRAL Co., Ltd 中西 豪>
 
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