■日時:2018年8月31日 カテゴリ:風力発電 
 
【中国(陸上・洋上)風力発電市場の主要プレーヤー一覧】
 
前回は中国の陸上・洋上風力の発電能力という観点で紹介しましたが、今回は風力発電市場における主要プレーヤーを説明していきたいと思います。
 
・世界の風力発電市場のタービンメーカー
まずは世界の風力発電市場におけるタービンメーカーはどのような構成になっているでしょうか。下のグラフは2017年の風力発電タービンメーカーの新規発電設備容量別のシェアになります。右のグラフは洋上風力発電タービンメーカーのものになります。ご覧の通り、世界のツートップはシーメンスガメサヴェスタスとなっています。しかし、トップではないものの中国タービンメーカーの存在感は大きく、中国最大の風力発電タービンメーカーの金風(GoldWInd)は世界3位につけており、遠景能源(Envision)、連合動力(United Power)、明陽風電(MingYang)、重慶海装(HaiZhuang)などが上位に入っています。
 
・洋上風力発電のタービンメーカー
また、洋上風力発電のタービンメーカーの構成は陸上風力発電市場とは異なり、シーメンスガメサMHIヴェスタス(三菱重工とヴェスタスの合弁会社)が過半数の市場シェアを占めています。中国勢は第3位に上海電気、5位に遠景能源、6位に金風がつけています。洋上風力に関しては中国は欧州に比べて後発(2010年代になり発展が進んだ)であり、陸上風力発電に比べて洋上風力発電は開発コストが高いことから中国タービンメーカーの参入は比較的少ない状況となっています。
 
 
・中国の風力発電タービンメーカー
続いて中国の風力発電タービンメーカーについてもう少し詳しく説明すると、現在トップを独走しているのは中国新疆自治区に拠点を置く金風科技(GoldWind)です。金風は2001年に新疆自治区政府により設立された国営企業で、2012年より中国風力発電市場で首位をキープし続けています。近年はスマート制御システムの開発に力を入れており、タービンユニットのリアルタイム負荷測定および寿命状態推定などの一連の高度な風力発電制御技術や、スマート・ブレードと呼ばれるブレードインペラの前にある風の流れの多次元かつリアルタイムの変化を正確に測定することで「正確な風」を実現し、タービンユニットを長い間「最大の風力エネルギー」を獲得するいちに補正する技術などを備えています。技術革新でも中国風力発電市場を牽引していると言えます。
 
第2位の遠景(Envision)はアメリカから帰国した張雷氏により2007年に設立された民間企業で、風力タービンの開発の他、再生可能エネルギーに関する多数のクラウドプラットフォームを運営しています。現在北米、ヨーロッパ、中国などにおいて、20GW以上の新エネルギー資産を管理していると言われ、世界最大のスマート技術を用いたエネルギー資産管理サービス会社です。因みに創業者の張雷氏は、2009年の米国”フォーブス”にて「今年最も影響力のある創業者10人」に選ばれています。
 
第3位の明陽(MingYang)は広東に拠点を置く民間の風力タービンメーカーで、今年428日に世界最大の5.5MW級抗台風型風力タービンの吊り上げが完了したことで有名です。
 
 
・中国の風力発電開発企業(ディベロッパー)
続いて、風力発電所の開発を手掛けるディベロッパーはどうなっているでしょうか。
ディベロッパーに関してはタービンメーカーと異なり、プレーヤーは全て国営企業です。中国における風力発電所の建設は第13次五カ年計画において中央・地方でそれぞれ開発目標が掲げられており、その計画遂行の重要なドライバーとなるのが国営企業のディベロッパー達です。こういった中央政府の政策と、それを遂行する企業が一体になって勢いよく前進するのが中国の特徴であり、強みであると言えます。
 
 
・中国の洋上風力発電タービンメーカー
最後に中国の洋上風力発電のタービンメーカーですが、陸上風力発電とは異なり、現在上海電気が首位を独走しています。これにはカラクリがあり、上海電気はシーメンスガメサと戦略的な技術提携を結んでおり、上海電気は中国におけるシーメンスガメサの洋上風力タービンの販売ライセンスを取得しています。つまり、名目上は上海電気がサプライヤーとなっていますが、タービン自体は実はシーメンスガメサ製となっています。中国の洋上風力発電の歴史は浅いため、自分達で1から技術を蓄積する必要はない、外から先進な技術を取り込めば良いというのが中国企業の基本的なスタンスであり、これは風力発電だけではなく他の産業でも導入期に見られている動きです。
 
産業的には黎明期にある中国の洋上風力ですが、今後陸上風力のようにいずれは技術力で国際水準に達し、世界をリードしていく存在になる日は近いかもしれません。
 
 
(筆)INTEGRAL Co., Ltd  中西 豪 2018年8月31日
 
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