■日時:2018年9月11日 カテゴリ:環境技術(断熱建築)
 
東京駅から北陸新幹線に乗り約2時間ほど、そこには長閑な風景が広がる富山県黒部市があります。「宇奈月温泉駅」で新幹線を下車し、そこから車で15分ほどの場所に”パッシブハウス”はあります。パッシブハウスとは部屋の内装、壁、窓を高断熱仕様にすることでエアコン無しでも夏は涼しく、冬は暖かさを保つため消費電力、排気ガスゼロを目指したドイツや北欧を中心に普及している高断熱建築物のことです。
今回は暑さがまだ残る9月3日に、中国山東省青島市のパッシブハウス設計の専門家一団(中国のパッシブハウスは青島が発祥の地で、断熱建築の国際フォーラムや断熱材のメーカーなどが多数あります)を引き連れて日本の黒部パッシブハウスの見学を行いました!
 
長閑な風景が広がる富山県黒部市(筆者撮影)
 
黒部市は世界的なファスナーや窓メーカーのYKK社のホームグラウンドであり、YKK AP社が手掛ける断熱窓を採用したパッシブハウスがモデル建築物として展示されています。閑静な住宅街に、欧州建築仕様の家が突然現れ、これがパッシブハウスだなと一目で分かりました。
 
この黒部のパッシブハウスは一般社団法人パッシブハウス・ジャパン(PHJ)代表理事である森みわさんにより設計されたものです。この見学には同じくPHJ理事の青山幸多さん(一級建築士、省エネ建築診断士エキスパート)に同行してもらい建築物の説明を行って頂きました。
 
YKK APパッシブハウスの説明を受ける一行
写真一番左:青山氏 左から2番目:ドイツパッシブハウス・インスティテュート外交担当:Francis Bosenick氏 左から3番目:青島市のパッシブハウス専門家:Mike Song 左から4番目:中西
 
このパッシブハウスの特徴としては、南側に大きな高断熱窓を配置することで南からの暖かい日射を多く取り入れる、熱交換器により室内外の空気の循環を保つ一方で熱は外に逃がさない構造になっています。またこのパッシブハウスの窓は全てトリプルガラスと高断熱仕様の特別なPVCサッシが採用されています(一般的に冬に室内の熱の60〜70%は窓から逃げると言われています)。また、夏は窓を開けると風が家全体を流れるような構造にすることで通気性を保ち、自然な風の涼しさを感じることができます。
 
余談ですが、このようなパッシブハウスは中国では近年中国北部を中心に盛り上がりを見せており、本家ドイツのパッシブハウス協会から”パッシブハウス・コンポーネント”と呼ばれる国際認定を受けた断熱窓・サッシを作るメーカーが出てきています。青山さんの話では、中国のトップランナーの断熱建築技術は既にドイツに匹敵する水準に達しているとのことです。中国の住宅はほぼ全てが集合住宅・高層アパートですので、パッシブハウスどころか”パッシブハウスコミュニティ”と呼ばれる団地一帯全てがパッシブハウス仕様の建物になっている地域まで青島などに現れ始めています。
 
 
西側のベランダは遮熱設計が施されており(Low-Eガラスなどの設置)、不要な紫外線や熱線の室内への取り込みをカットします。一方で可視光は取り込むことが可能で室内の明るさを保つことができます。
 
 
屋上はオープンになっており、黒部市の美しい全景を見渡すことができます。こんな場所でバーベキューをやりながら青島ビールが飲めたら最高だなとか皆で冗談を言うほど素敵な一空間でした。
 
 
最後は一行全員で、パッシブハウスの前で写真撮影。今回ガイドをしてくださったパッシブハウス・ジャパンの青山さん、YKK APの加藤さんにはここに感謝の意を表します。大変お世話になりました。ありがとうございます。
 
 
筆:INTEGRAL Co., Ltd 中西 2018年9月11日