■日時:2018年10月26日 カテゴリ:会社ブログ、水素燃料電池
訪問先:上海重塑能源科技有限公司(Refire)
訪問参加者:NEDO(北京事務所、本部水素戦略室)、上海交通大学燃料電池研究室(胡鳴若教授、曹広益教授)、一般社団法人燃料電池開発情報センター、INTEGRAL(中西)
 
【中国燃料電池システムのトップメーカーに訪問】
 
INTEGRALでは中国水素燃料電池車市場の調査を行なっておりますが、今回燃料電池車用システムで中国トップシェアを持つ上海重塑能源科技有限公司(以下Refireと呼ぶ)に訪問してまいりました。Refireは2015年に若き実業家林琦氏(38歳)によって上海嘉定区に設立された若い会社です。会社年齢自体は若いですが、2017年には東風汽車に燃料電池輸送車500台を納車(当時中国燃料電池車業界では最大規模の契約)する実績を持っており、同年には広東省雲浮市に燃料電池システムの生産拠点を設立しており、年間20000ユニットの生産能力を有しています。
 
Refireと記念撮影。創業者の林琦氏は写真左から四人目
 
Refireの強みは何と言ってもあのカナダの燃料電池スタックメーカー、バラード(Ballard)の燃料電池スタックを使用していることです。雲浮で生産されているバラードOEM燃料電池スタックは、バラード本体の生産するスタックと同等かそれ以上の品質を持っていると言われており、製品寿命は現在中国で最長の12000時間、発電効率は最大56%と優れた性能を有しています。現在小型商用車向けの定格出力32kW(Caven3)、中小型商用車向け46kW(Caven4)、2019年には大型商用車向けの80kW(Caven7)が上市されます。
 
 
今回の訪問にはRefire創始者兼CEOの林琦氏も同席。同社事業開発部部長の馬晶楠よりRefireの会社紹介を受けたあと、自由な質疑応答を行った。以下は質疑応答の内容。
 
■質問:Refireは燃料電池商用車向けの燃料電池システム開発に重点を置いているが、乗用車用の燃料電池システムについては開発を行う予定はあるか?
 
回答:Refireとしては短中期的には商用車市場にフォーカスするべきだと考えている。乗用車用のシステムについては、現在の中国市場にはまだ明確な需要は生まれていない。しかしながら2018年は燃料電池乗用車2車種に我々の燃料電池システムの供給実績があり、長期的に燃料電池システムのコストが下がり、水素ステーションなどのインフラが整備されれば乗用車向けも検討できると考えている。
 
■質問:Refireの燃料電池システムはバラード社の燃料電池スタックを採用しているが、今後スタックについても自主開発の可能性は?
 
回答:燃料電池スタックの自主開発の計画は今のところはない。当面は燃料電池システムのコスト低減が最優先課題であり、現在スタックも含めてより安く高品質な部品の供給先を探している。一部日本製の部品も既に採用している。
 

■質問:投資先の水素ステーションでは、水素は幾らで販売しているか?また水素供給源は?

 

回答:他の水素ステーションの販売価格、ガソリン車1km走行あたりの単価も考慮し、現在我々は1Kgあたり40元(約640円)で販売している。しかしながら、政府の補助金も無いので当然のことながら赤字である。採算を合わせるには1日の供給量が増やし、政府からの補助金が必要である。水素ステーションが増えなければ燃料電池車は増えないので、誰かがステーション開発に投資しなければならない。我々はコミュニティ、地方政府、産業に水素エネルギーの重要性を訴え、自ら率先的に水素ステーション開発に投資することにより燃料電池車の普及を願っている。水素は石炭化学工場副産ガス由来の水素から調達している。多くの人が純度を気にしているが、我々の行っている実証試験では燃料電池システムへの影響は出ていない。

 

■質問:燃料電池の基礎研究は行なっているか?

 

回答:我々は北京にR&D施設を置いている。基礎研究というよりは、ビッグデータを活用した燃料電池商用車の運行モニタリング・管理プラットフォームの開発を行なっている。このプラットフォームでは管理者はリアルタイムでの燃料電池車の走行位置、走行距離、水素残量、故障の有無、故障情報の詳細などの情報が確認できる。さらにビッグデータの活用により故障が発生する時期も予測することができ、これにより管理者は予期せぬ運行停止を避け、タイムリーなメンテナンスを実施できる。上海には我々のアフターセールスメンテナンスの拠点があり、この夏から稼働している。現在顧客からはこのプラットフォーム、サービス体制に対して高い評価を得ている。

 

 

■質問:定置型燃料電池の開発計画はあるか?

 

回答:直近では計画はない。定置型燃料電池は住居向けの小型のものと発電用の中・大型のものがあるが、中国にはまだ市場がない。現在定置型燃料電池に関しては、一部の国家重点研究プロジェクト(863計画など)を除いて、具体的な政府的支援はない。よって、我々は中長期的な検討内容と考えている。

 

 

■質問:最後に日本企業との事業提携に興味はあるか?もしあればどのような分野に関心があるか?

 

回答:勿論ある。日本製の部品は性能が良く、システムに使われる部品の供給面での提携は特に関心がある。

 

 

・質疑応答後、Refireが投資している靖遠路水素ステーションの見学を実施した。

 

靖遠路水素ステーションは上海嘉定地区にあり、2018年2月から運行が開始している。中国の水素ステーションの収益状況は日本と同様赤字の状態が続いているが、詳しくはまた別の記事で書くことにする。

 

見学時には中型の輸送トラックが水素を充填する様子も見られた。充填時間は3分ほどであった。価格は40/Kgとなっており、充填と共にメーターに充填量と料金が表示される。Refireの話によれば、JD.comの上海市内の配送車も一部燃料電池車を採用しており、現在実証運行がスタートし、靖遠路水素ステーションで水素を充填しているとのこと。なお、水素高圧コンプレッサーは中国国内メーカーである富瑞特装有限公司(Furui)が供給している。

 

靖遠路水素ステーション内の水素高圧コンプレッサーと水素充填装置

 

記:INTEGRALCo.,Ltd. 2018年10月31日