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■ブログ執筆日時:2018年12月27日 カテゴリ:水素燃料電池
【2018年の中国水素・燃料電池産業の動きを振り返る】
 
さて、年末ということもあり今回のブログでは今年最後の締めとして、中国の水素燃料電池産業の2018年の動きを振り返ってみようと思います。
 
 
▪︎ 2018年の水素燃料電池産業の動きを振り返る
 
2018年の中国水素燃料電池産業の投資総額は850億元
報道ベースの情報によれば、2018年の中国水素燃料電池産業の投資総額は850億元(約1兆3600億円)にも登っているとのことです。既に上海、仏山、雲浮、如皋、武漢、張家口、北京、大連、十堰、鄭州など中国各地でFCVの商業化運行がスタートしており、20181月~11月までで新たに465台のFCVが市場に投入されています。12月現時点でも続々と新たなFCV商用運転が開始しています。水素ステーションに関しても2018年は全国各地に新たに23の水素ステーションの建設がスタートしています。特に広東での建設数は多く、仏山だけでも2019年までに計28の水素ステーションが建設される見込みとなっています。
 
 
FCV核心部材の国産化の動きも一部の企業で活発に
燃料電池の核心材料であるMEA(プロトン交換膜、触媒、気体拡散層)は大部分が輸入品に依存している状態ですが、燃料電池の全ての部材の国産品を開発する動きも出てきており、早くからFCスタックの自主開発に取り組んでいる新源動力では2018年に国産最長となる5000時間の製品寿命を達成しています。出力性能も最新の中国製燃料電池システムは2.0kW/LMirai3.1kW/L)まで性能を上げてきています。
 
 
水素供給に関する標準策定の動き高まる 
水素に関する標準策定でも今年は水素の生産、輸送、貯蔵や水素ステーションにおける安全性や充填方法、水素品質に関する国内の標準を策定しようという声が一段と高まった年だったと思います。現在は産業連盟などが形成するにつれて標準化の動きが活発化してきています。
 
水素インフラの普及は水素燃料電池車の普及に必要不可欠となるものですが、2018年はその土台を形成する段階、いわば”Hop Step Jump””Step”の序段階に入ったと言えるのではないでしょうか。
 
 
▪︎ 2018年の大きな動きトップ8
 
それでは、政府や民間企業では具体的にどのような動きがあったでしょうか。弊社の独断により2018年に起きた出来事で最も印象的かつ重要なものをピックアップしてみました。
 
  1. 日中首相相互訪問、日中での合作(水素エネルギー含む)
今年5月に李克强首相が北海道苫小牧市のトヨタ自動車の工場を視察した。1025日~27日は安倍首相が中国を訪問し、計52項目180億ドルに上る合作協定を結んだ。
 
2. 中国水素燃料電池産業連盟の成立
今年211日、国家能源集団、国家電網、東方電気、中国一汽、東風汽車など中国国有企業を中心とした水素燃料電池産業連盟が成立した。
 
3. 長城汽車、H2 Mobility(独)の株式買収(5%)、上燃動力の過半数株式買収(77%
長城汽車が水素製造、貯蔵、水素ステーション、燃料電池開発の分野にも参入したことは大きな話題になった。
 
4. 潍柴動力、BallardとCeres Powerの株式取得し大株主になる
今年初頭に世界最大のディーゼル車用発電機メーカーの潍柴(Weichai)はSOFC燃料電池メーカーのCeres Powerの株式20%を取得、1113日カナダBallardの株式19.9%を買収し筆頭株主になり、燃料電池システム開発で提携することを発表した。大洋電気もBallardの株式を取得しており、燃料電池システムの開発で提携していることから、このBallard-大洋電気-潍柴提携ラインはFCVの上流から下流までのサプライチェーンを構築したことになる。
 
5. 中国産FCV初の海外輸出
今年910日、マレーシアSEDCが仏山飛馳製の燃料電池バスの購買契約を行った。
 
6. 氢车熟路(STNE)と重塑(Refire)が1000台の燃料電池物流車の供給契約を獲得
2017年にUNDPFCV商業化モデル実証プロジェクトとしてSTNERefireは上海に500台の燃料電池物流車を投入しており、今年917日に更なる商業化の推進として投入数を1000台にまで拡大する供給契約を獲得した。
 
7. 張家口に中国最大となる計74台の燃料電池公共バスが投入された
今年5月に福田欧輝(Foton)、宇通(Yutong)の燃料電池公共バスがそれぞれ49台、25台投入された。運行数では中国最大。
 
8. 現代自動車(Hyundai)2030年までにFCVに464億元投資する計画を発表
今年1211日、現代汽車は「FCV展望2030」を発表し、2030年までに計7.6億ウォン(464億人民元)投資することを宣言した。
 
筆)2018年12月27日
 
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