今年3月27日、美綿能源が出資しているSinoHykey (鸿基创能(広州)有限公司)は広州黄埔区において年生産能力30万平米のCCM, MEAの生産工場が竣工したというニュースが流れました。2019年末には量産化していく体制にしていくとのこと。また、今年2月に擎動科技(Hydrogine)が中国初のロールトゥロール直接塗布法によるMEA生産設備が稼働しました。他にも数社MEA関連の会社で、今年生産工場を立ち上げるという話を聞きます。
中国では従来国産のMEAを作れる会社は数社しかありませんでしたが、近年新規プレイヤーの参入や従来のMEA開発企業の投資活動が一層目立つようになりました。
これは2020年~30年までの新規FCV投入計画が各都市で相次いで発表されるとともに、これらの都市で商業運行の実証プロジェクトが進行していること、水素ステーションの普及が着実に進んでいること、などから将来のFCV需要の拡大を見込み今から戦略的に布石を敷いていると解釈することができます。
また、MEAは燃料電池における核心部位であり、開発の技術難易度は非常に高く、開発には長い年月と大量の資金投入が必要となるため一般に新規参入のハードルは非常に高いと言われています。
しかし最近、先進的な技術を持つ国外企業や欧米の研究機関で研究開発を行っていた人材(華人を含め)の取り込みを積極的に進めている中国企業が見られ、スタックやこれまで難しいと言われていたMEAの中国での内製化を目指す動きが活発になってきています。また、この領域は製品付加価値が高く、高い投資資本回収が見込めること、そして将来的には海外輸入のMEAを採用したスタックの補助金適用は制限される可能性が高いこと、などから内製化MEAへの投資は今後ますます増えることが予想されます。
また、中国MEAのビジネス環境については、インテグラルのデータベースにある、中国のFCV・水素サプライチェーンの投資環境分析一覧表も合わせてご参照いただけたらと思います。
