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 カテゴリ:水素燃料電池、新エネ車 日時:2019年8月2日
 
次回のブログは、こちらをご参照ください。→ パート2. 韓国のサンアム水素ステーション訪問記
  
パート1. NEXOと韓国の水素ステーションの現状
 
1. はじめに
今回と次回のブログにかけて、韓国の水素産業(特に燃料電池車、水素ステーション)に関して述べさせて頂きます。初回のPart1では、ヒュンダイ(Hyundai)の燃料電池車「NEXO(ネクソ)」と韓国における水素ステーションの現状と今後の見込みを、次回のPart2では、弊社スタッフによる韓国の水素ステーション視察の内容を紹介させて頂きます。
 
 
2. ヒュンダイの燃料電池車「NEXO」
韓国における水素産業の発展と消費者の水素に関する知識・理解を進める啓発活動は、韓国自動車産業で国内第1位のシェアを誇る自動車メーカーのヒュンダイモーターがリードする形で行われているようです。2018年に、FCV「NEXO」の製造・販売を開始し、水素産業を牽引しています。ちなみに、この「NEXO」という名前は、デンマークの島の名前であり、古代ゲルマン語では水の精霊を意味しており、かつスペイン語では結合を意味しています。ヒュンダイによると、「NEXO」という名前には、酸素と水素の結合でエネルギーと水のみが発生し、非常に環境に優しいECOな自動車であるという特徴を表現する狙いがあるとのことです。3種のFCVのタイプの中では、NEXOは標準FCVに該当し、標準FCV市場では、世界的に、トヨタ、ホンダ、そしてヒュンダイが主要プレーヤと考えられています。(FCVの種類とその詳細に関してはこちらをご参照ください。→ 中国のFCレンジ・エクステンダー(電電ハイブリット燃料電池車)って何?)
 
図1:ヒュンダイの燃料電池車NEXO
nexo driving in the city
出典:ヒュンダイの公式HP
 
 
3. 「NEXO」の韓国内の販売動向
ヒュンダイは、2019年上半期の韓国の自動車市場において全体販売台数の39.1%のシェアを持っており、NEXOは、そのヒュンダイの総計販売台数のうちの0.46%を占めしています。NEXOは、現在(2019年7月時点)までで、累計2,000台以上が販売されており、2019年には、1,546台が販売され、これはヒュンダイのECO自動車カテゴリーの販売台数の約5%のシェアを占めています。
また、政府の補助金政策における支援が、NEXOの販売台数の伸びにつながったのではないかと考えられます。NEXOコミュニティーの記事を拝見すると、NEXO自体の販売価格は、約700万なのですが、政府の補助金を利用することで、約400万円で購入することが出来るようです。(中国政府の新エネルギー車への補助金に関する政策の詳細は、こちらをご参照ください。→ 2019年中国新エネ車の政府補助金NEXOは水素ステーションがあるソウル、蔚山(ウルサン)、光州(クァンジュ)、昌原(チャンウォン)で優先的に販売されています。それでは、次章で韓国の水素ステーションについてご紹介したいと思います。
 
図2:ヒュンダイにおけるECO自動車カテゴリーにおけるNEXOの販売台数とシェア(2019年上半期) 
 
出典:韓国自動車産業協会、韓国輸入自動車協会、ダナワ公式HP参照。
 
 
図3:2019年7月までのNEXOの販売台数推移(月別、累計)
出典:韓国自動車産業協会、韓国輸入自動車協会、ダナワ公式HP参照。
 
図4:ヒュンダイにおけるECO自動車カテゴリーにおける販売台数シェア詳細(2019年上半期)
出典:韓国自動車産業協会、韓国輸入自動車協会、ダナワ公式HP参照。
 
 
4. 韓国の水素ステーションの分布
韓国における水素ステーションの数は約30ヵ所になり、そのうち一般人が使用できる場所は約20箇所になります。政府は2019年末までに、合計86箇所の水素ステーションを運営することを目標としています。しかし、ソウルにおいては、水素ステーションが2箇所しかないことから、燃料電池車(NEXO)購入者の不満は大きいのではないかと考えられます。なお、EV(電気自動車)の充電場所は環境部が運営するウェブサイトから電気スタンドの位置を検索できるのですが、一方で燃料電池車においては、まだ公式サイトが出来上がっておらず、ネットコミュニティが一番最新の情報を持っている状況となっています。とりわけ、NEXOのオンラインコミュニティは急成長しており、現在(2019年8月1日時点)、約7,000人が加入しており、メンバーは、お互いにリアルタイムで、水素ステーションに関する情報を共有しています。
 
図5(左):韓国における水素ステーションの分布(現状)
図6(右):韓国における水素ステーションの分布(予定)
出典(図5):ヒュンダイ公式HP参照。
出典(図6):ネットコミュニティ「NEXO CAFE」参照。
 
 
5. オフサイトにおけるチューブトレーラー方式が主流
現時点で、韓国に建造された水素ステーションの大部分は、オフサイトにおけるチューブトレーラー方式を採用しています。水素チューブトレーラーとは、水素ガス保存容器が装着された車両のことを指し、車両が水素ステーションに到着し、車輪のついたカートリッジだけを残し、車両は水素ステーションを離れます。この方式は、工場から近く、比較的需要の小さい水素ステーションへ水素を輸送するのに適しています。ステーションにはチューブトレーラーが設置され、トレーラー内部に保管されている水素がコンプレッサーを経て、燃料電池車を充填します。チューブトレーラー方式のステーションは標準CNG充填スタンドと同様に構成されていますが、充填過程で発生する水素の温度上昇を防止するための冷却設備が追加されている点が異なります。
 
図7:オフサイトとオンサイトの水素ステーション
出典:ヒュンダイ公式HP参照。
 
 
6. 世界の水素ステション展開とロードマップ
2019年1月に発表された資料によると、韓国は現在14箇所の水素ステーションを持ち、 現在、世界において水素ステーション保有台数で1位(100箇所)の日本と比べると、遅れをとっている状態です。また、近年中国の台頭は目覚ましく、運営中のステーション数では2018年にフランスを抜き世界第4位(6%のシェア、日本と韓国は、それぞれ各27%と4%)となっています。(中国の水素ステーションの詳細に関しては、弊社レポート「2019年中国の水素サプライチェーンの動向」をご参照ください。)
 
図8:2019年1月時点の世界各地の水素ステーション数とシェア
    
出典:Hydrogen Refueling Station Worldwide(H2Stations.org)参照。
 
アジアを体表する日中韓の建設ロードマップを見ると、三国とも2022年から2025年の間に300箇所以上の水素ステーションを設置することを目標にしていることが分かります。
 
日中韓の水素ステーション建設のロードマップ
分類
’20年
’22年
’25年
日本
40千台/160ヶ所
(250台/所)
 
200千台/320ヶ所
(625台/所)
中国
5千台/100ヶ所
(50台/所)
 
50千台/300ヶ所
(167台/所)
韓国
10千台/130ヶ所
(77台/所)
67千台/310ヶ所
(216台/所)
 
*台:目標とする燃料電池車の販売台数
 
次回パート2. サンアム水素ステーション訪問記は、韓国のサンアム水素ステーションの視察についてレポートしていきたいと思います。
 
 
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