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■日時:2020年3月17日 
2019年の中国FCV販売台数統計発表!
 
 
今年1月に中国汽車工業協会(CAAM)により、中国における2019年の自動車の総生産・販売台数とFCV含む新エネルギー車の生産台数と販売台数が報告されました。報告によると、2019年の自動車総生産台数は2572.1万台(前年比-7.5%)、総販売台数は2576.9万台(前年比-8.2%)と下落しました。新エネルギー車全体においても、生産台数は124.2万台(前年比-2.3%)、販売台数は120.6万台(前年比-4.0%)と、補助金撤廃の影響を受けて、減少傾向にあります。(補助金が新エネルギー車販売数に与える影響におきましては、こちらのブログ→万鋼氏が語る今後の新エネ車補助金政策の動向についても合わせてご確認いただくと分かり易いかと思います。)。
 
図1:中国における新エネルギー車販売台数推移
出典: (1) 中国汽車工業協会(CAAM). 2019年汽车工业经济运行情况. (2) Sohu.com. 新能源:2018年全球新能源汽车现状及竞争格局分析. 参照。Integral集計。
図2:中国の2019年における新エネルギー車の販売数の全体における割合
出典: 中国汽車工業協会(CAAM). 2019年汽车工业经济运行情况.Integral集計。
 
しかし、内訳を見ると、純EV車が生産台数102万台(前年比+3.4%)、販売台数97.2万台(前年比-1.2%)、プラグイン式ハイブリッドが生産台数22万台(前年比-22.5%)、販売台数23.2万台(前年比-14.5%)と販売数が減少している中、FCVにおいては、生産台数は、2,833台(前年比:+85.5%)、販売台数は2,737台(前年比:+79.2%)となり、2016年からのFCVにおける累計販売台数は、6,165台と、中国汽車工程学会(SAE-China)が策定した新エネ・省エネ自動車技術ロードマップの2020年の目標値5,000台を上回り、目標を1年前倒しで達成し、順調に販売台数を伸ばしてきていることが窺えます。
 
図3:中国の燃料電池自動車累積販売台数推移
出典: (1)中国汽車工業協会(CAAM). 2019年汽车工业经济运行情况.(2)中国汽車工程学会(SAE-China).新エネ・省エネ自動車技術ロードマップ.参照。Integral集計。
 
さらに、詳細を、見ていきますと、補助金対象として新エネ車推薦目録に登録された車両の内訳は以下の通りになります。
図4:新エネ車推薦目録登録車種数におけるFCトラックとFCバスの登録車種数の比較
出典: 工信部【新エネ車推薦目録 】.Integral集計。
 
FCバスとFCトラックの登録車種の比率は、バス対トラックの比率が約2:1の割合で登録されており、これは昨年の傾向と同様になります。
図5:新エネ車推薦目録の各バッチにおける登録車種数の推移
出典: 工信部【新エネ車推薦目録 】.Integral集計。
 
カタログ各バッチにおける登録車種数は2019年後半にかけて伸びていき、登録数においても増加傾向にあるといえます。
 
 
図6:登録FC車種における定格出力・航続距離における昨年度との比較
 
車種の性能を見ていくと、1年間で、定格出力と航続距離において、大きな改善がなされていることが分かります。弊社の分析によると、平均して、定格出力は21%、航続距離は8.4%伸びています。ここから中国FCV産業の現状として二つの側面が見えてきます。第―に、中国燃料電池メーカーの研究開発力が向上してきていることが伺えます。第二に、FCEVのアプリケーションの変化あげられます。2019年までにおいては、市内走行実証目的に中型のバスやトラックなどの商用車が開発・製造される傾向がありました。しかし、2019年後半に、長江デルタエリア水素回廊建設計画や北京・張家口における水素エネルギー発展ロードマップなど、燃料電池車の都市間を超えた中・長距離走行のための計画が相次いで発表されており、それに合わせて水素燃料電池車の開発は従来の市内走行用の小・中型商用車から長距離大型商用車へシフトしてきています。例えば、Dongfeng Motor (東風汽車)を例に上げてみると、下図が示すように、2018年から2019年にかけて開発した車両が大型化していることが分かります。
 
 
図7:東風汽車におけるFCEVの2018年と2019年の開発・製造車種における比較
 
このことから、各車両OEMは、燃料電池メーカーに、大型車が長距離航続出来るように、高出力の燃料電池の開発を求めていることが窺えます。そして、今後も、都市間を結ぶ中・長距離輸送における実証プロジェクトに向けて、長距離大型商業用燃料電池車の需要が高まる傾向はしばらく続いていくと考えます。
 
一方で、水素ステーションの開発状況を見ていきますと、弊社ブログでも、Air LiquideLindeによる水素ステーションの建設プロジェクトを紹介させて頂いておりましたが、中国本土において、2020年2月までに、63ヵ所の水素ステーションの建設が完了し、現在、50ヵ所の水素ステーションが運営されています。多くのステーションでは、35MPaのディスペンサーを採用していますが、70MPaのディスペンサーも導入するステーションも現れ始め、将来的には、70MPaの装置が増加していくと考えられます。理由としては、長距離車両用には、水素エネルギーをより多く充填する必要があり、より高圧な水素が求められることが上げられます。現状の水素ステーションの分布を考慮しても、水素ステーションの数は十分とは言えず、また高速道路上にはまだ水素ステーションは建設されていない為、都市を跨ぐ様な長距離輸送車は、多くの水素を一度に充填する必要があります。その点で、より高圧で一度に多く充填できる70MPaの水素が求められます。中国では、現在、70MPaのタイプ3の水素タンクを開発・製造している既にメーカーがいくつかあり、まもなく中国における70MPaの水素タンクにおける産業標準が発表されると言われています。このことから見ても、今後、70MPaのディスペンサーが主流になってくると考えます。(Air Liquideの水素ステーションについては、こちらのブログ→[考察]Air Liquideの中国水素エネルギー市場進出におけるSinopecとの提携のインパクト、Lindeについては、こちらのブログ→[考察]Lindeの水素エネルギービジネスにおける中国進出戦略をご参考ください。)
図8:中国国内の水素ステーション稼働数の推移
出典: Integral集計
 
以上、まとめますと、2019年の中国の水素エネルギー・FCV産業においては、FCVの普及、水素ステーションの開発が、順調に進んだと言うことがでいます。産業のボトルネックとなっていた水素ステーションの開発が進んでいることから、今後も水素ステーション・FCV(商業用車を中心に)ともに徐々に普及していくのではないかと考えます。また、以前のブログ→「万鋼氏が語る今後の新エネ車補助金政策の動向について」にて詳細について説明していますが、中国における新エネルギー車の父と言われ、新エネルギー車の政策において、強い影響力を持つ万鋼氏が、2019年の新エネルギー車の販売台数の不振を受け、先日、「新エネルギー車における補助金を撤廃すべきではない」とした主旨の発言をしており、今後も燃料電池の補助金は継続されるという見方が強まっています。補助金政策に見通しが立った今、水素ステーションなどのインフラ整備が進んできていることを考慮すると、コロナウイルスによる国内経済への影響が収まり次第、昨年下期に停滞していたFCVの生産・販売も加速化していくと弊社は考えております。
現在、弊社の人気レポートである2019年中国水素・燃料電池産業の最新動向2019年中国水素サプライチェーンの最新動向の情報のアップデートに向けてリサーチを継続中であり、中国のFCV、水素ステーションにおける、より詳細な情報等は、追って、レポートにて報告させて頂きます。レポート更新の際には、ブログ・メールマガジン・LinkedInの会社ページを通して報告させて頂きます。
 
 
 
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