この記事を共有する:
記事の閲覧数:84
 ■ 日付: 2022年9月23日
*こちらの記事は、2022年5月9日の弊社英文ブログ【CCUS in China: Unlocking the Potential Opportunities of Carbon Utilization and Storage】を翻訳したものになります。
 
【中国におけるCCUS:二酸化炭素の有効利用・貯留の潜在的可能性】
この記事の筆者
まとめ
1. カーボンニュートラルの実現に向け、セメント業や鉄鋼業などの排出削減困難なセクターでは、CCUSによる脱炭素化技術が必要である。例えば、セメントセクターでは、グリーン電力やグリーン燃料に切り替えても、排出量の40%しか削減できない。残りの60%については、CCUSやCカーボンリサイクル技術などによってしか削減できない可能性が高い。
 
2. CO2回収には高いコストがかかる、回収コストを下げる以外には、回収したCO2を利用することが、プロセス全体の経済性を向上させる上で、非常に重要になってくる。
 
3. 短期的には、EORは最も経済的に実現可能なCO2利用法の一つになるだろう。現在のような原油価格の高い状況では、CCUS-EORによる石油収入 (〜270米ドル/トン) で、130米ドル/トン程度と推定されるCCUSの運用コストを賄うことができる。
 
4. 現在、大手国有企業に集中しているが、中国のCCUSプロジェクト開発では、民間企業や外資系企業も重要な役割を担っている。敦華やシェルがその例である。
 
5. EORは短期的には過渡的な方法となり得るが、他の貯留リソースの開発も検討しなければならない。そうでなければ、貯留リソースに関するデータと経験の不足により、CCUSの発展が遅れるてしまうだろう。
 
キーワード:#CCUS #カーボンニュートラル #EOR #原油増進回収 #有効利用 #貯留 #DACCS #BECCS #全国炭素排出権取引制度 (ETS) #超臨界CO2輸送パイプライン #EWR #カーボンニュートラル商品 #カーボンニュートラルLNG #水素メタネーション
 
この記事の内容にご関心のある方は、こちらのレポートもご参照ください。: 中国におけるCCUS】
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
CCUSの重要性
図1:中国におけるCCUSの市場導入ポテンシャル (セクター別)
 
* DACCS (Direct Air Carbon Capture and Storage) とは、化学物質を用いて大気中のCO2を直接回収する技術である。
* BECCS (Bioenergy with Carbon Capture and Storage) は、バイオマスやバイオエネルギー発電で発生するCO2を回収・貯留する技術である。
*BECCSとDACCSは、ライフサイクル全体がカーボンニュートラルであれば、カーボンネガティブとみなすことができる。どちらも将来的に大きな可能性を秘めている。
 
2060年までにCO2ネットゼロエミッションを実現する。これは、中国がパリ協定への約束を果たすために実現しなければならないことである。二酸化炭素回収・有効利用・貯留 (CCUS) はその実現に向け、重要な役割を担うことになる。その理由は以下のとおりである。
 
産業界レベルでは、脱炭素化100%を達成する唯一の方法として、CCUS需要がある。2020年、産業セクターは中国のCO2総排出量の28%を占めている。複数の研究論文によると、鉄鋼業は年間総排出量のおよそ15%を占め、産業セクターで最大の排出源となっている。そして、工業製品の需要はまだまだ伸び続けている。しかし、鉄鋼のような産業は、生産能力の調整やエネルギー効率の改善だけでは脱炭素化が難しい。一方、水素を利用する直接還元鉄 (DRI) 電気アーク炉 (EAF) への切り替えなどの還元法は、通常、工場のリフォームに多額の資金を必要とするため、中国の若い鉄鋼業界のインフラでは費用対効果を上げることが困難だ。他方、セメントのような一部の産業は、エネルギー効率の改善やグリーンエネルギーの利用だけではCO2排出量を実質ゼロにすることはできない。中国最大のセメントメーカーの1つである安徽海螺集団によると、「100%グリーン電力とグリーン燃料に置き換えたとしても、CO2の40%しか削減できず、残りの60%はCCUS、CO2転換技術などでしか削減できないだろう」と述べた。
 
図2:2020年中国のCO2排出量 (セクター別)
 
また、水素DRIや再生可能エネルギーなどの新技術はまだ開発途上であり、未解決の課題 (製品の種類が限られる、品質の劣化、発電量の変動など) もある。将来的に再生可能エネルギーが主流になるとはいえ、送電網の安定性を確保するためには、ある程度の化石燃料発電が必要になってくるだろう。そして、CCUSは、化石燃料の燃焼によるCO2排出量のこの部分に対処することができる。特定の産業が脱炭素化のために、カーボンクレジットを購入する以外では、CCUSが必要になってくることが明らかである。中国の2021年度CCUS年次報告書では、CCUSの市場導入ポテンシャルを2060年までに年間14億トンとし、ゼロエミッション実現と予測している。(中国のカーボンクレジットに関する記事「中国における排出権取引制度:どのようなビジネスチャンスが考えられるのか」)
 
マクロレベルでは、中国政府・機関がCCUSの戦略的位置付けを高めているようだ。第14次5カ年計画では、中国が大規模な実証プロジェクトを実施し、CCUS技術の発展を支援することが示唆されている。これまでの政策でもCCUSは重要な排出削減策として盛り込まれていたが、国家5カ年計画でCCUSが言及されたのは初めてのことだ。中でも、産業界 (特に石油産業) では、EOR (原油増進回収) 技術を応用したCO2の有効利用が注目されている。CCUSに関する研究も活発になっている。中国とヨーロッパの研究機関が予測したように、CCUSは中国のCO2排出削減量の約15%を占め、CCUS技術を導入しなければ、カーボンニュートラル実現までの総コストは118%増加するという。しかし、現段階では、中国にはCCUS導入に対する強力な経済的インセンティブ (米国の45Q税額控除制度のようなもの) がまだない。支援政策の多くは研究開発に集中しており、大規模な応用に関するものはほとんどない。大規模なCCUSプロジェクトの展開を促進するためには、CCUS技術を導入した石炭火力発電所に対するFIT (固定価格買取制度) のような強力な支援政策が必要である。
図3:2060年カーボンニュートラル実現に向けた中国のエネルギー転換予測
 
中国におけるCCUSの最新動向
図4:中国の主要CCUSプロジェクトの分布
 
プロジェクト開発 - 現在、中国では約30件のCCUSプロジェクト (22件が稼動中) があり、CO2回収能力は合計で年間300万トンである。主に石油、石炭化学、電力業界におけるEORの小規模実証が中心で、複数の技術を組み合わせて、プロセスの全てを工業化という大規模実証には至っていない。中国では、石油・石炭火力発電事業者がCCUSプロジェクトの70%に携わっている。石油会社にとっては、石油回収の拡大を続けるための "口実 "が必要なのだろう。また、石炭火力発電事業者にとっては、全国炭素排出権取引制度 (ETS) の第一陣として、脱炭素化が急務となっている。そのため、この2つの産業では迅速な移行が必要である。中でもSinopecは、傘下の化学会社からCO2を回収し、石油回収に利用するCCUSフルチェーンプロジェクトを最も多く開発している。一方、石炭火力発電事業者は、回収したCO2を工業用や食品産業に販売するCO2回収事業が主体となっている。
 
プロジェクト規模については、中国国内のCCUSプロジェクトは10万トン級のCO2回収能力が主流となっている。米国やヨーロッパのCCUSプロジェクトに比べ、中国のプロジェクト規模は比較的小さい。これは主に、中国のCCUS発展が遅れており、政策的支援や経済的インセンティブがまだ十分でないからだ。したがって、現段階では、中国でCCUS事業を維持する余裕があるのは、主に大手国有企業か、関連産業チェーンを持つ少数の大企業である。現在までのところ、最大規模のCCUSプロジェクト(CO2回収能力100万トン)は、Sinopec Shengli Oilfieldが立ち上げたものである。このプロジェクトの規模は、中国の第14次5カ年計画で100万トン級CCUSプロジェクトの実証が言及されていることにも合致している。この先5年間で、さらに100万トン級のCCUSプロジェクトが導入されることが予想される。
 
図5:中国におけるCCUSプロジェクトのプロジェクトオーナー
 
コスト問題 - 中国におけるCCUSプロジェクトの大規模開発においては、コスト高、特にCO2回収コスト (総コストの60〜80%を占める) の高さが依然として最大の障壁となっている。CO2回収コストは、CO2排出源の濃度によって大きく異なり、CO2濃度が低いほど高いコストが必要とされる。石炭化学、天然ガス処理、エタノール生産など、高濃度のCO2流を回収できる産業では、CO2回収コストは18米ドル/tCO2 (120人民元/tCO2) と低くなる。一方、セメント製造や発電では、回収されるCO2の濃度が非常に低いため、CO2回収コストは103米ドル/tCO2 (700人民元/tCO2) 以上となる場合もある。しかし残念ながら、これらの企業は、排出量の削減を最も強く求められている企業でもある。
 
IPCC (気候変動に関する政府間パネル) によると、CO2の回収・貯留の総コストが25〜30米ドル/トン (170〜200人民元/トン) に下がって初めて、CCUSが大規模に展開できるようになるという。中国も他の多くの国々と同様、この目標達成には近づいておらず、現状では、その道のりは短くない。
 
二酸化炭素の有効利用・貯留
CO2回収工程で高いコストがかかることを考えると、回収したCO2を有効利用することは、高い回収コストを相殺し、全体の経済性を上げるために非常に重要なことである。
 
EOR(Enhanced Oil Recovery:原油増進回収)- 短期的に最も期待できる方法
短期的に最も期待できるCO2有効利用の一つが、CO2-EORである。これは、既存の油層に高圧CO2を、時には、合わせて水をパルス状に圧入し、油層から原油を採収するプロセスである。採収工程後のCO2の一部は、地下深くに貯留され、長期保存される。現在、中国では油層に、水の圧入 (二次採収法) が低コストで容易にできるため、油田開発時に広く採用されている。米国エネルギー省によると、理論上、CO2-EORは二次採収率が 35%から75%まで採収率を高めることができるという。現実には、石油採収率は通常15〜20%改善されると見られる。
 
図6:CO2-EORのフローチャート
 
これまでに、中国におけるCCUSプロジェクトの約67%がCCUS-EORである。EORが中国 (および世界) で普及している主な理由は、経済的に最も実現可能な方法の一つであるからだ。CCUSが技術開発の現段階では赤字と見なされるのに対し、EORは利益を生む可能性がある。原油価格が高ければ、石油の利益で導入コストをオフセットすることができる。現在、中国におけるEORプロジェクトのガスの油化率は約0.1-0.4t/tであり、1トンのCO2を圧入すると0.4トン (2.8バレル) の石油を採収することができる。2022年8月の原油価格96米ドル/バレルで計算すると、1トンのCO2を圧入すると約270米ドルの石油収入につながる (CCUSの回収・輸送・貯留コストは約130米ドル/tCO2、輸送距離は100km、タンクによる輸送と仮定) 。このように、高い経済性を持ってCCUSプロジェクトを展開することが可能となる。
 
中国の石油会社にとっては、従来の原油生産量が減少する中、EOR事業を継続的に拡大し、同時にCO2を貯留し、CO2排出量を削減するチャンスでもある。2022年8月までに、中国の4大石油会社のうち3社 (CNPC、Sinopec、延長石油) がCO2-EORプロジェクトを実施した。
 
中国におけるCCUSのビジネスモデルのひとつに、「石油会社モード」と称すものがある。このモードは、バリューチェーンにおけるCO2の回収から輸送、オイル注入、貯留までの全工程が石油会社によって運営される。このビジネスモデルは、収益やリスク管理などのビジネスフローが円滑に進み、結果として取引コストの削減をもたらす。
図7:石油会社モード
 
CO2の回収と貯留を別々の事業者が行う「CCUS事業者モード」に比べ、石油会社モードは、原油価格が低いときにも生き残ることができる。とはいえ、CCUS-EORプロジェクトの収益源は依然として不透明であり、限定的である (収益源は石油収入のみ)。今後の発展を促すために、政府のインセンティブと、炭素市場のようなより包括的な市場スキームが必要である。CCUSを全国ETSの対象とすることで、CCUS技術を採用する企業が、現在の高い事業コストを相殺することが期待されうる。
 
図8:CCUS事業者モード
 
EORプロジェクトの多くは大手石油国有企業によって占められているが、国内の民間企業や外資系企業もプロジェクトリストに名を連ねている。最も注目されるのは、新疆敦華グリーンカーボンテクノロジー (Dunhua Green Carbon Technology) という民間企業である。同社は新疆ウイグル自治区にある。グループ会社である敦華石油 (Dunhua Oil Company) は、中国の石油開発技術サービス会社で、2015年に新疆でCO2-EORプロジェクトを開始し、その後CCUSに事業を拡大した。敦華は、低濃度CO2回収(自社開発アミン溶剤)、CO2輸送(超臨界CO2輸送パイプライン)、EOR技術、カーボンリサイクル技術など、CCUS技術のフルバリューチェーンを確立した中国で唯一の民間企業である。同社2015年のCCUS-EORプロジェクトでは、CNPCカラマイメタノールプラントから年間10万トンの液体CO2を回収し、新彊ジュンガル盆地までトラックで輸送してEORを実施した。プロジェクトオーナーはCNPCだが、敦華はCO2回収とEORのオペレーターとしてより重要な役割を果たした。
 
図9:敦華CNPC CCUSプロジェクトのエコシステム
 
敦華の事例から、民間企業や外資系企業が中国のCCUS普及から利益を得る早期のチャンスについて、いくつかの示唆を得た。石油の産出サイドから直接CO2-EORに参入するのは難しそうだが、CO2の供給サイド (回収や輸送など) から高度な技術を提供することで市場に参入することは可能なようだ。低コストのCO2化学吸収技術、CO2回収設備、超臨界CO2輸送パイプライン、腐食防止剤などの分野は、民間および海外のプレイヤーにとって潜在的な機会となりうるだろう。
 
EWR(Enhanced Water Recovery:淡水の増進回収)- 非常に大きなポテンシャルを秘める
EORは短期的には最も経済的に実現可能な方法だが、2060年までに中国の総排出量を埋め合わせるには、その貯留能力は十分とは言えない。したがって、他の貯留リソースも早期に導入し、将来の大規模導入のための経験とデータベースを充実させなければならない。EORを除くあらゆる地中CO2有効利用・貯留方法の中で、EWRはもう一つの鍵と言える。EORと同様に、深部帯水層にCO2を圧入し、水資源の回収とCO2の地下への恒久的な貯留を行う方法である。しかし、コストが高く (洋上EWRは陸上EORの6倍)、リターンが少ない (淡水は石油より安い) ため、プロジェクト数は限られたままである。
 
それでもEWRが戦略的に重要である理由は、
(1) 前述のように、EORのCO2貯留能力だけでは将来の総排出量を埋め合わせることができないからだ。中国のCO2地中貯留可能量は、約1兆2,100億トンから4兆1,300億トンである。中でも、中国の深部塩水帯水層のCO2貯留可能量は23億トンに達すると予想されており、将来的に大きな需要が見込まれる。
(2) ソース・シンクのミスマッチの問題で、華東地区の都市ではEWRが数少ない選択肢の一つとなっているからだ。図10を見ると、中国のCO2吸収源とCO2供給源の間に地理的ミスマッチがあることがわかる。中国のCCSサイト選定において、最も環境適合性の高い地域は主に西部に位置し、最大の排出源は東部に集中している。低コストのパイプライン建設も一つの解決策だが、中国では建設コストを抑えるために、CO2圧縮中継輸送ステーションを必要としない最長のパイプライン(限界距離250km)が使われることが多い。しかし、華東や華南のほとんどの都市では、250kmの範囲内に適当な場所がない。そのため、パイプラインの建設と運用にはコストがかかりすぎるという問題がある。この場合、洋上EWRによるCO2貯留は、特に華東地区の沿岸都市にとってEORに代わる選択肢となりうる。
 
図10:EWR技術とEOR技術によるCO2貯留可能容量
 
現在、CNOOCは中国の洋上EWR導入のキープレイヤーとなっている。2021年8月、CNOOCは南シナ海で1.46MtのCO2貯留能力を持つ、中国初の洋上EWRプロジェクトを立ち上げた。今年6月には、シェル、広東省政府、エクソンモービルと、広東省における別の海上CCUSプロジェクト (洋上EWRまたはEORになる見込み) の開発可能性を探る覚書を締結した。
 
EORや洋上EWRはまだコストがかかりすぎるという状況の中、石油会社が収益源を増やす解決策の一つとして、「カーボンニュートラル商品」を作り出すことである。例を挙げると、シェルは化石資源由来製品からの収益を伸ばすために、「カーボンニュートラルLNG (液化天然ガス)」を作り出している。そのプロセスを簡単に説明すると、まず、シェルは、今ある森林プロジェクト (カーボンシンク) のカーボンクレジットを取得し、そのカーボンクレジットを化石資源由来製品に付けてCO2排出量をオフセット可能にし、いわゆる「カーボンニュートラル商品」を創出している。その後、シェルはこの「カーボンニュートラル商品」を顧客 (例:CNOOC) に販売し、顧客はカーボンニュートラル目標を達成することができる。このプロセスで、シェルの化石資源由来製品はさらに市場化され、取引されるカーボンクレジットとの価格差がシェルの収益源となる。
 
同様に、上記のCCUSプロジェクトについても、一つの仮説として、シェルはCCUSプロジェクトからカーボンクレジットを取得し、それを自社の製品に付けて「カーボンニュートラル商品」として中国の顧客に販売することができる。もう一つ考えられることは、その地域の排出事業者にCO2の回収・貯留サービスを提供することである。ヨーロッパでは、このような企業 (例:ノーザンライツ) はすでに存在している。ノーザンライツの場合、近隣または国境を越えて排出されるCO2を、船でノルウェーの中間貯留施設に輸送し、その後パイプラインで海底下2600メートルに永久保存している。
 
その他のCO2の有効利用
地質学的貯留に加え、化学物質や燃料の生産における原材料としてのCO2有効利用など、資源利用も川下産業チェーンのもう一つの形態である。例えば、水素メタネーション、CO2吸収コンクリートの製造、藻類によるCO2吸収とバイオマス燃料生産など挙げられる。この記事では、一つの可能性として「水素メタネーション」を紹介する。
 
水素メタネーションとは、回収したCO2と水素からメタンを合成する技術である。メタンは、燃料電池、液体燃料、水素、プラスチック、タンパク質、医療など、さまざまな産業で広く利用されている化学物質であるため、このCO2利用法は大きな可能性を秘めている。また、再生可能エネルギーを利用すれば、合成されるメタンはグリーンメタンとなり、ユーザーにとってよりカーボンニュートラルな選択肢となる。
図11:水素と二酸化炭素からメタンを合成するメタネーション技術のフローチャット
 
世界的に見ても、日本は水素メタネーションの先進国の一つである。2020年、日立造船は、中国国内の化学企業である楡林化学(Yulin Chemical)と提携し、陝西省に水素メタネーション事業を立ち上げた。この事業では、日立造船がメタネーション装置の建設に携わる。一方、楡林化学は、副生水素と経済技術開発区から排出されるCO2を供給する。日立造船が合成したメタンガスは、再び工場に送られ、再利用される。排出されたメタンは再び回収される。こうしてガス再利用のサイクルが形成される。実現すれば、再生メタンで同工業団地の需要の約3割をまかなうことができる。
 
中国における水素メタネーション事業のボトルネックは2つある。(1) 高効率の触媒がないこと。(2) 水素の価格が高いこと。楡林化学が日立造船との提携を決めたのは、日立造船がメタン合成に使う触媒で世界トップクラスの自社技術を持っていることが大きな理由である。メタネーションに使用する水素やCO2を商業市場から購入すると、メタン合成コストが2倍以上になってしまう。しかし、現地で発生する副生水素やCO2を利用すれば、採算が合うと想定される。日立造船の事例を参考に、他の日本企業や外資系企業も、中国国内の排出事業者と協力することで、中国の水素メタネーション事業にビジネスチャンスをつかむことができるだろう。
 
図12:日立造船のメタン合成装置 
写真出典:Nikkei Asia, 2020, Japan to help build giant methane production plant in China
出典
[1] European Commission, EDGAR-Emissions database for global atmospheric research. 
[2] Jiutian, Z., Zhiyong, W., Jia-Ning, K. et al. “Several key issues for CCUS development in China targeting carbon neutrality”. Carb Neutrality 1, 17 (2022).
[3] 北极星火力发电网,2021-7,煤电碳捕集产业“十四五”有望爆发(聚焦煤电转型增效系列报道之十二).
[4] 新华财经,2021-11,“前景”“瓶颈”和“出路”——碳捕集利用与封存技术产业化应用调研.
[5] 中国二氧化碳捕集利用与封存 (CCUS) 年度报告 (2021).
[6] 新浪财经,2022-6,通源石油二氧化碳埋存驱油试注项目正式启动,把握CCUS广阔机遇.
[7] Nikkei Asia, 2020, Japan to help build giant methane production plant in China.
[8] L. Bruce Hill. Et al. “CO2-EOR in China: A comparative review”. ScienceDirect (2020). 
[9] Shell, 2022-6, Shell partners with CNOOC, Guangdong Government, ExxonMobil on offshore carbon capture and storage hub in China. 
[10] 李阳,碳中和与碳捕集利用封存技术进展.
[11] 火星骑士瞭望,2021,中日在清洁能源上合作,能源与汽车领域能否迎来新变局?
[12] 北极星大气网,2021-5,负碳排CCUS技术的商业化前景与机遇.
[13] 北极星碳管家网,2022-1,市场潜力千亿规模 中国CCUS技术为何难以推广.
 
この記事の内容にご関心のある方は、こちらのレポートもご参照ください。:  中国におけるCCUS】
 
■ 新規入会登録はこちらから(会員登録は無料。ご登録頂くと会員限定のサンプルレポートの閲覧・ダウンロードの閲覧が可能になります
この記事に関して自由なご意見・ご質問を募集しています!下のコメント欄に記入お願いします。