この記事を共有する:
記事の閲覧数:258
 ■ 日付: 2023年8月3日
*こちらの記事は、2022年7月10日の弊社英文ブログ【China’s Path to Green Steel: Varies Technologies Can Have a Chance】を翻訳したものになります。
 
【中国、グリーンスチールへの道:各製法における機会】
この記事の筆者
まとめ
1. CBAMや米国・EU間のグローバルアレンジメントなどの国際政策は、中国の鉄鋼輸出ビジネスの低炭素化を一層加速させる可能性が高く、現時点では即時の影響は小さいものの、鉄鋼輸出業者は長期的な影響を十分注視する必要がある。
 
2. 中国の鉄鋼メーカーには、脱炭素において、主に3つの選択肢がある。その中で、EAF方式が最も早く導入されるだろう。EAF方式による製鉄の比率は、2025年までに15%、2030年までに20%を超えると予想される。水素還元法や水素DRI法はその後に、実用化され大きな可能性を秘めている。
 
3. 中国には築年数の浅い高炉が多く、短期的に水素DRIやEAF方式に移行することは経済的ではない。そのため、CCUS、バイオマス、水素還元法などの新技術にも可能性がある。
 
4. 中国は石炭資源が豊富だが天然ガス資源は不足しているため、水素還元法や水素DRIに注入するガスとして、コークス炉ガスが主に使われている。これによりコストは下げることができるが、排出削減効果はあまり期待できない。将来的には、グリーン水素が使用され、それに伴い分散型発電装置、水電解などのビジネスチャンスが生まれることが期待される。
 
キーワード:#CBAM #AEAF #水素還元 #DR I#グリーン水素 #CCUS #コークス炉ガス
 
この記事の内容にご関心のある方は、こちらのレポートもご参照ください。: 中国におけるCCUS】また、English Podcast、Episode 1: China's Carbon Market Quick Updatesもご拝聴ください。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
背景:切迫する鉄鋼製造における排出削減の必要性
図1. 中国の温室効果ガス排出分布
 
業界の試算によると、中国の鉄鋼業は全国温室効果ガス排出量の約15%を占めている。電力セクターに次いで2番目に大きな排出源である。中国の「3060年目標」達成に向け、鉄鋼業は極めて重要な役割を担っている。
 
国レベルでは、鉄鋼業に対する政府のカーボンニュートラル実現に向けた目標は厳しい。2022年、中国政府は「鉄鋼業の質の高い発展促進に関する指導意見」(关于促进钢铁工业高质量发展的指导意见)を発表し、その中で鉄鋼業は2030年までに排出量をピークアウトさせなければならないとしている。この目標は、以前に発表された中国鋼鉄工業協会の目標より、5年後ろ倒しにされているとはいえ、中小規模の鉄鋼メーカーにとっては達成困難かもしれない。
 
業界レベルでは、鉄鋼業界大手各社はさらに高い目標を設定し、2025年までにCO2排出ピークアウトを目指している。例えば、宝武鋼鉄集団は2023年にカーボンピークアウト、2035年までに30%削減することを目指している。河北鋼鉄集団はカーボンニュートラル計画を、カーボンピーク停滞期 (2022~2025年)、安定的削減期 (2026~2030年)、深化脱炭素期 (2031~2050年)の3段階に分けて取り組んでいる。
図2. 鉄鋼業界大手のカーボンニュートラル実現までのタイムライン
 
川下産業の主要ユーザー、特に自動車産業は、製鉄所からのグリーンスチールやローカーボンスチールに対する新たな需要を打ち出している。2022年8月、河北鋼鉄集団とBMWグループは、瀋陽におけるグリーンサプライチェーンの構築に関する協力覚書に調印した。2022年11月、宝武鋼鉄集団は北京ベンツと協力関係を確立し、2023年にベンツへのグリーンスチールの供給を開始する。
 
図3. 中国の鉄鋼産業川下ユーザーの構成 (2022年)
 
グローバルレベルでは、諸外国の政策も中国にグリーンスチール製造を促そうとしている。特にEUと米国は中国に圧力をかけていると取れる。
 
EUの炭素国境調整メカニズム (CBAM) は、2026年に発効し、買手であるCBAM申告者 (EU域内の事業体) は、CBAM証書を購入する必要がある。この政策により、クリーン化技術を取り入れない中国の鉄鋼メーカーは、欧州市場に対する価格競争力が大幅に低下することになる。米国側では、排出集約型の鉄鋼貿易を制限するため、グリーンスチールに関するグローバルアレンジメントについてEUと協議している。この動きは、中国がよりグリーンな鉄鋼製造に乗り出さなければ、世界の鉄鋼貿易から中国を締め出すという狙いがうかがえる。こうした諸外国の政策による影響は一時的なものであるように見えるが、その適用範囲は鉄鋼製品 (現段階) のみならず、産業チェーン全体へと拡大し、最終的には鉄鋼の製造工程全体に及ぶ可能性があるため、長期的な影響には懸念が残る。
 
中国におけるクリーンスチール製造への3つの主要な道筋
現在、中国における鉄鋼製造の主流は、依然として「 BF-BOF(高炉-塩基性酸素炉)」法である。2022年には、中国の鉄鋼の約90%がこの製鉄法によるもので、残りの10%はEAF(電気アーク炉) によって製造される。中国におけるBF-BOF法の使用率は国際水準の73%、米国水準の30%よりはるかに高いと考えられている。BF-BOF法は最もエネルギー集約的な製鉄法である。この製造工程では、石炭が主なエネルギー源および還元剤として使用される。CO2排出量の約67%は、高炉内で石炭の燃焼により発生するため、鉄鋼製造における脱炭素化のカギは還元剤の炭素強度を下げることにある。このBF-BOF法では、1トンの鉄鋼を製造するのに、約450kg相当のコークスが必要となり、2.07トンのCO2 (スコープ1排出量) という非常に高い排出が発生する。
 
BF-BOF法によるこの高濃度汚染に対処するため、中国の鉄鋼メーカーには主に3つの選択肢がある。
図4. 主な製鉄方法
 
 1. 水素還元法 (10~20%の排出削減)
中国国内の高炉は築年数の浅いものが多いため、短期的には水素還元法が移行期の技術として実施されようとしているが、排出削減効果は限られる。この製造工程の基本概念は、高炉内で10~20%の石炭を水素に置き換えることである。還元剤としての水素は、化学的還元反応で温室効果ガスCO2の代わりにH2Oを放出し、排出量を削減する。
 
図5. 水素還元のコンセプト
 
中国では、この水素源が主に副生水素である。通常、既存の製造工程でコークス炉ガスから再利用され、ガス化・改質後に高炉に再注入することで、水素濃度を高める。陝西省、新疆、四川省など天然ガス資源が豊富な地域では、天然ガス由来の水素の使用も考えられる。
 
水素還元法の主な課題は、コークス炉ガス中の水素の可燃性と爆発性である。水素の可燃性限界は非常に広く (空気中で4~75%)、空気中に漏れたり、温度や圧力が急激に上昇したりすると、火災や爆発を引き起こす危険性がある。いったん爆発すると、燃焼区域内に急速に拡散し、周辺施設すべてに被害を及ぼす恐れがある。また、コークス炉ガスが注入されると、オーバーヒートの問題が起こることがある。この場合、炉壁や羽口が損傷することが多く、より頻繁にメンテナンスを行う必要がある。
 
こちらの製造工程は、中国では宝武鋼鉄集団、邢台鋼鉄集団、晋南鋼鉄集団などが、海外ではCOURSE50 (日本)、ThyssenKrupp (ドイツ)、POSCO (韓国)などのグループ・企業が試験的に実施している。
 
図6. 宝武鋼鉄集団の水素濃縮カーボンリサイクル試験高炉
 
2. 水素をベースとする直接還元法 (DRI) (40~50%の排出削減、グリーン水素使用で100%削減)
鉄鋼の製造工程に水素を取り入れた直接還元鉄 (DRI) は、最も期待される製鉄法である。DRI法には大きく分けて (1) 石炭・天然ガスベース (2) 電解ベースの2種類がある。中国では現在、高い技術成熟度と比較的安価なことから、石炭または天然ガスをベースとする製鉄法 (例えば、コークス炉ガス注入) が主流となっている。しかし、この製鉄法では製造工程において排出ガスが多く発生するため、現時点における移行期における選択肢と見なされている。また、BF-BOF法とは異なり、高炉と塩基性酸素炉の代わりに、シャフト炉とEAF(電気アーク炉 ) を使用する。そのため、設備切替コストは高くなる。しかし、DRI法に大きな期待が寄せられる理由は、100%グリーン水素DRIとEAFを併用することで、ゼロカーボン粗鋼を製造できるからである。
 
ただし、水素を大量に使用する場合には、様々な課題が残されている。
 
第一に、グリーン水素をオンサイトで生成する場合、再生可能エネルギー源と鉄鋼製造拠点の立地が一致しない (図7参照)ことから、水素のコスト、特に輸送コスト (製造コスト全体の20%) が高くなる 。中国の鉄鋼製造拠点の大半は、環渤海地域 (特に河北省、江蘇省、山東省) と江蘇省に集中している一方、中国で最も豊富な風力・太陽光資源を有するのは、さらに北と北西の地域である。この場合、長距離輸送が必要となり、輸送コストが大幅に増加する。
 
図7. 2020年中国の粗鋼生産量と再生可能エネルギー棄電量
 
第二に、生産効率と製品の多様性を妨げる場合がある。従来の還元方式では、熱源は主にBF-BOF法の炭素に由来する。しかし、100%水素によるDRI法では、炭素源が利用できず、2つの問題が生じる。一つは、水素によって発生する低温は生産性を30%低下させる。純水素で鉄鉱石を還元する過程で大量の熱を吸収し、シャフト炉内の温度が急激に低下するため、大量の熱を必要とする後続の反応が遅れ、生産効率が大幅に低下する。現在、多くのプロジェクトで100%水素が導入されていないのはこの理由からである。宝武鋼鉄集団や河北鋼鉄集団などの中国企業は、この問題を回避するために、コークス炉ガスからの一酸化炭素と水素の混合ガスを使用している。二つ目として、炭素含有量の少ない鋼材は、延性は高いが強度的には弱く、その結果、製造できる製品の種類が限られることが挙げられる。
 
第三に、設備投資コストがかかる。DRI法には水素コンプレッサーと高品質の鉄鉱石が必要である。ここでは、水素のもう一つの化学的側面である密度の低さも悪影響を及ぼす。水素の密度ははるかに小さいため、炉に入ると、すぐに上方に逃げてしまう (図8参照)。しかし、主要な還元帯は炉の上部ではなく炉の中央にあるため、水素を下方に圧縮する為に、水素コンプレッサーを備えなければならない。その結果、追加コストが必要となる。
 
図8. シャフト炉内の水素流路
 
また、DRI法では、鉄含有率が66%を超える、より高品質な鉄鉱石原料が必要となる。しかし、中国にはDRI法をまかなえるほどの高品質な鉄鉱石があまりない。中国の鉄鉱石の多くは、低品質で、平均鉄含有率は34.5%である。したがって、中国のDRI製鉄業者は輸入鉄鉱石に頼らざるを得ず、コストがさらにかさむことになるだろう。
 
現在、中国国内で水素DRI法に成功しているのは、2021年の試験段階にある「山西中晋太行コークス炉ガスシャフト炉直接還元鉄プロジェクト」(山西中晋太行焦炉煤气竖炉直接还原铁项目)1件のみである。このプロジェクトは、イランのMME GmbHと連携し、同社のPEREDと呼ばれるDRI技術が導入されている。一方で、河北鋼鉄集団のような大手鉄鋼メーカーも、DRIの研究開発プロジェクトを開始している。2019年にはイタリアのTenovaと戦略的パートナーシップを締結し、将来的にグリーン水素で化石燃料フリーの鉄鋼を製造するDRIプロジェクトを共同開発している。
 
図9. 山西中晋太行鉱業集団のPEREDシャフト炉
 
3. 鉄スクラップ - EAF(電気アーク炉 ) 方式 (80~100%の排出削減)
EAF方式もよく注目されるCO2排出削減方法であり、主に米国 (~70%) とEU (~46%) で実施されている。EAFベースの製鉄では、鉄スクラップを原料とし、主な設備は電気アーク炉である。電力を主なエネルギー投入源とする100%鉄スクラップの場合、消費電力は約400kWh、CO2排出量は鉄鋼1トン当たり約0.36トンと、BF-BOF法に比べて約80%少ない。EAF方式は期待できる製鉄法であり、中国政府も推進しているが、中国でのシェアはまだ低い。これは主に次の理由による。
 
まず、中国ではスクラップが不足している。概ね試算すると、1トンの鉄鋼を製造するには1.13トンのスクラップが必要になる。中国のスクラップ供給量の実測値は、2022年には約2億6,000万トンだった。しかし、中国の粗鋼生産量は2022年には10億1,300万トンに達しており、スクラップ供給は極めて不足している。さらに、中国は現在、CO2排出量削減のためにBF-BOF法の製造工程においても大量のスクラップを消費している。高炉とEAF間のスクラップ争奪は、EAF製鉄業者のスクラップ不足を深刻化させている。これに対応するため、一部のEAF製鉄業者は、大量の二酸化炭素を排出する溶銑を代わりに投入している。
 
次に、中国のスクラップの品質が低いことが挙げられる。中国ではリサイクルスクラップの約50%が消費済み・使用済みスクラップであり、自動車、建設資材、船舶、機械などの最終製品が含まれる。スクラップが主に鉄骨構造物から得られる他の先進国とは異なり、中国の建設系スクラップの大半はコンクリート構造物からであり、これが鉄鋼の純度に影響を及ぼしている。さらに、スクラップの検出・選別技術も中国では成熟していない。回収されたスクラップに含まれる不純物は腐食の原因となり、高級鉄鋼製品を製造する際の強度を損なう可能性がある。
 
図10. 無認可流通業者が運営する屑鉄置き場
 
また、中国では鉄鋼業界における電力価格は比較的高くなりつつあり、製造コストをさらに引き上げている。電気代は、EAF方式の鉄鋼製造コストの約11%に相当する。エネルギー大量消費型産業に分類される鉄鋼業は、市場電力取引価格に設けられている20%の上限は適用されない。つまり、電力価格は現地の石炭基準価格より40~50%高くなることもありうる。(中国の電力市場に関する記事【中国、電力価格の上限を引き上げ:変更点と業界への影響】) BF-BOF法に比べ、EAF方式は鋼鉄1トン当たり約300kWhの余分な電力消費を必要とする。平均的な電力価格を0.78人民元/kWhとすると、EAF製鉄業者は鉄鋼1トン当たり234人民元の追加料金を支払う必要がある。通常0.02-0.03人民元/kWhのプレミアムが乗るグリーン電力を使用する際は、鉄鋼1トン当たり9人民元/kWhの追加料金を支払うことになる。そして、今のところ、政府による電力価格の優遇措置は施行されていない。
 
課題をビジネスの機会として捉える
当然のことであるが、課題の解決には大きなチャンスがある。スクラップ、改質技術、グリーン水素など、現在取り組まれている課題がある。また、前述したように、設備をシャフト炉やEAFに直ちに切り替えることは非現実的だと考えられる。 このような複雑な状況の中で、CCUSやバイオマスのような既存の高炉に適用できる技術にもチャンスがある。(CCUSに関する記事【中国におけるCCUS:二酸化炭素の有効利用・貯留の潜在的可能性】)
 
1) スクラップ品質検査システム
現在、スクラップの50%のみが合法な回収業者によって回収され、残りの50%は闇市場に流れている。2021年までに、鉄スクラップ処理業界において約584社が工業情報化部に認可されたが、認可されていない関連業者は合計1500社以上にのぼるとされている。こうした認可外業者から回収されたスクラップは通常、複数の材料が混入しがちである。したがって、スクラップ品質検査システムの確立は求められ、ビジネス機会に繋がると考えられる。その一例がCluster星云の「インテリジェント鉄スクラップ検査システム」である。人工知能をベースに、スクラップ追跡、スクラップ品質検査、不適格材警報、異常警報などを行うことができる。
 
図11. Cluster星云のインテリジェント鉄スクラップ検査システム
 
2) 改質装置
改質は、水素DRI製鋼工程において最も重要な手順の一つである。前述の通り、中国には高品質の鉄鉱石が不足しているため、低中位の品質の鉄鉱石に対応できる改質技術は大きな需要を持つ可能性がある。現在、一部の国内企業が海外技術と組み合わせた試みを行っている。例えば、河北鉄鋼集団がTenovaと共同で河北省で進めている120万トンDRIプロジェクトは、「ENERGIRON ZR」と名付けられた表面改質技術を展開している。この技術は、外部のガス改質装置なしでシャフト炉での鉄鉱石の還元を可能にする。高圧 (6~8 bar) 、高温 (1000℃以上) で作動するため、多種多様な鉄鉱石を使用できる。
 
図12. ENERGIRONシャフト炉
 
もう一つの例は、「山西中晋太行 (CSTM) コークス炉ガスシャフト炉直接還元鉄プロジェクト」(山西中晋太行焦炉煤气竖炉直接还原铁项目)である。このプロジェクトでCSTMは、中国石油大学と共同発明した乾式改質技術が採用されている。低品質の鉄鉱石 (鉄含有量<30%) を使用することができ、原料コストの削減につながる。
 
3) グリーン水素とマイクログリッド
グリーン水素は、製鉄工程の完全な脱炭素化を可能にする、鉄鋼業界のゲーム・チェンジャーとなりうる。現在の主な障壁は、その高価格と炭素含有量の不足である。RMIの調査によると、現在のグリーン水素価格は約42人民元/kgで、グリーン水素を利用するDRI法は、BF-BOF法よりもコストが約80%高くなる。CCSを適用するより安くするには、水素価格を21人民元/kgまで下げ、BF-BOF法より安くするには10.5人民元/kgまで下げる必要がある。
 
グリーン化するには、省内・省間のグリーン電力取引に参加するのも一つの方法だが、中国ではグリーンPPAはまだ立ちあがったばかりであるため万能ではない。そこで、グリーン水素のオンサイト製造が代替の選択肢として残される。一部の鉄鋼メーカーは現在、自社の製鉄所内で水素を製造しようとしている。例えば、宝武鋼鉄集団は、自社の上海製鉄所内に自前の水素ステーションを建設した。製造源としては、コークス炉ガスが主体となっているだが、太陽光発電や天然ガスなどからの水素製造も行われている。
 
グリーン製鉄所の将来像 (図13参照) では、マイクログリッドのグリーン電力を自社製鉄所のEAFに利用することで、鉄鋼メーカーにさらに多くの脱炭素化ソリューションを提供することができる。遅かれ早かれ、「マイクログリッド+水素+製鉄所」という構図が生まれ、製鉄の脱炭素化が進むだろう。そうなれば、マイクログリッドの開発、分散型発電装置、水電解に大きなビジネスチャンスが生まれる。
 
図13. グリーン製鉄所の将来像
 
まとめると、短・中期的には、EAF方式による製鉄法が主流となり、同時に水素還元法の試験的導入も進むと予想される。最終的には、グリーン水素の需要が高まり、水素価格が10.5人民元/kgを下回れば、グリーン水素DRIが主に活用されるだろう。CCUSの普及は世界的に2030年頃になると予想され、既存の発電所や工場 (鉄鋼、セメントなど) で、展開される可能性が高い。中国の鉄鋼産業規模は巨大であるため、中国におけるグリーンスチール製造への道筋は、まだまだ成長の余地を残しており、鉄鋼業界における脱炭素化の進展に注目し続けることで、機会を手にすることができよう。
 
この記事の内容にご関心のある方は、こちらのレポートもご参照ください。:  国におけるCCUS】
 
■ 新規入会登録はこちらから(会員登録は無料。ご登録頂くと会員限定のサンプルレポートの閲覧・ダウンロードの閲覧が可能になります
この記事に関して自由なご意見・ご質問を募集しています!下のコメント欄に記入お願いします。