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 ■ 日付: 2023年12月17日
*こちらの記事は、2023年12月8日の弊社英文ブログ【 Swapping Station: A Better Energy-Refilling Solution for Electric Truck?】を翻訳したものになります。
【バッテリースワップステーション:EVトラックに対する優れたソリューションとなるか?】
この記事の筆者
 
 
[まとめ]
1. 中国では、比較的輸送効率が高くなるため大型電気トラックが勢いを増し、スワップステーションの需要が高まりつつある。
 
2. スワップステーションは、大型EVトラックに適したソリューションで、寒冷地や高地での設置に有利だと考えられている。チベット自治区の玉龍銅鉱山プロジェクトは、最高標高のバッテリー交換式トラック向けスワップステーション事業である。また、スワップステーションは、脱炭素化の促進を目的とした工業団地の再エネ・マイクログリッドの基盤ともなりうる。
 
3. バッテリースワップ方式は主に2つのボトルネックに直面している。第一に、規格統一がされていないこと、これは2023年のバッテリー交換に関する仕様規格の開始によって解消されつつある。第二に、投資額が大きいこと、これはVehicle-Grid-Integrationの導入や、地域によっては、政府の補助金によって緩和することができる。NIOのスワップステーションは、VPPへの参加に成功を収め、浙江省、山東省、四川省など複数の省で試験的に開催されているアンシラリーサービス市場の取引に参加している。
 
Keywords: #Eトラック#EVトラック #スワップ #VGI #V2G #VPP 
 
この記事の内容にご関心のある方は、以下のデータベースもご参照ください。
2. ポッドキャスト: "Episode 2: VPP in China: Is it a good bet?"
 

2023年8月、Foton Daimlerは、脱炭素化が進む中、大型電気トラックの需要増に対応するため、新型バッテリー交換式電気トラクタートラック「Auman Zhilan (欧曼智藍)」を北京で発表した。港湾、鉱山、製鉄所などの閉ざされた場所に限らず、Fotonの新型EVトラックは、最大電力量513kWhで、地域物流や長時間の短距離幹線での貨物輸送も可能である。
図1. 新品バッテリーが搭載されるのを待つAuman ZhilanのEVトラック
 
実際、2020年以降、大型EVトラックは徐々に普及し始めており、この背景には主に自動車排ガス規制の厳格化があり、中国大型トラックセクターにおける普及率は2022年に3.74%、2030年には30%に達する見込みである。
 
図2. 大型EVトラックの販売台数は順調に増加
 
アプリケーションにおいて、中国では大型EVトラックは走行距離と車両重量に応じて使用されている。概ね各種シナリオによる要求条件によって4種類に分類される。その中には、トラクター型EVトラックは、最大電力500~900kWhで1回あたり100~600kmの走行が可能で、他のタイプよりも応用できる範囲が広い。
 
図3. 中国における4種類の大型EVトラック
 
EVトラックの勢いが止まらない中、エネルギー供給は電気トラックの運転手や事業者にとって大きな課題となっている。一般的な解決策である充電において、充電パイルの配備は容易であるが、充電時間が数時間かかる欠点を抱えている。一方、バッテリースワップステーションは、空のバッテリーを満充電のバッテリーと交換するのに数分しかかからない。台頭しつつあるが、建設コストがかかるという欠点を抱えている。
図4. 大型EVトラック向けの 2 つのエネルギー供給ソリューション
 
充電とスワップのトレードオフの関係で、バッテリースワップ方式は現在、大型EVトラックの中で支持者が増えつつある。この記事の後半では、まず、電気トラック用スワップステーションの実際の使用例を挙げ、次に中国におけるスワップステーションのボトルネックを解消する方法について論じていく。
 
中国における大型EVトラック向けバッテリースワップの機運
 
一般的に、EVトラックは鉱山や製鉄所のような小規模なシナリオで使用されるため、作業中に充電する必要がなく、固定された充電地点まで短時間で移動することができる。一方、バッテリースワップ式は、簡単に短時間で電気が補充されるため、トラックの輸送距離を伸ばすことができ、一部ルートが固定された幹線道路など、より長距離のシナリオに適用できる。さらに、最もコストのかかる部品であるバッテリーは、バッテリー・サプライヤーやバッテリー・バンクによってリースできることから、トラック・ユーザーは低コストでトラックを購入することが可能となる。
 
このようなバッテリースワップ方式は実用的であることが証明され、充電とスワップ両方で補充可能なバッテリー交換式トラックの需要増を引き起こした。2022年には、バッテリー交換式トラックは新エネトラック販売台数25,500台の約50%を占め、昨年から285%増加し、今後も、大型EVトラックのセグメントでさらにシェアを拡大すると予想される。
図5. バッテリー交換式EVトラックの普及拡大
 
前述したように、バッテリー交換式トラックの爆発的な伸びは、主に時間的な優位性によるものである。バッテリーを交換することで、バッテリーを充電する場合に比べて待ち時間を約98%節約でき、効率の最適化につながる。常に貨物を目的地に届けることを急いでいる運送会社にとって、これは重要な決め手となりうる。特に寒冷地では、リチウム・バッテリーの保護を目的に電流を下げる必要があるため、電気トラックの充電には他の地域よりも長い時間がかかることがあり、バッテリースワップ方式が好まれる傾向にある。
 
大型EVトラック向けスワップステーションの実例
 
中国はこれまで、さまざまな極端な気象シナリオ、例えば高地の鉱山などでスワップステーションの実践を行ってきた。2021年5月、国家電網EVサービス会社はチベット自治区の玉龍銅鉱山に40台のダンプE Vトラックを対象とした全自動スワップステーションを設置した。バッテリー交換にかかる時間はわずか4分である。
 
図6. 中国鉄建 (CRCC) 第19局、GHAUL、国家電網EVサービスにおけるプロジェクト
 
さらに、2021年10月以降、工業情報化部 (MIIT) がバッテリースワップ方式を試験的に導入する13都市を選定したが、東北地方では唯一、長春が選ばれたことから、気温が低い地域では充電方式よりもスワップ方式の方が有利であることが示唆された。
 
SOJO Electricの 太陽光発電-蓄電-充電-スワップステーション
2022年8月、SOJO Electric (双杰電気) は自社所有の安徽省工業団地に「太陽光発電-蓄電-充電-スワップステーション」を建設した。これはマイクログリッドとして機能する大型トラック向けスワップステーションの一例である。同スワップステーションは、太陽光発電の利用を最適化し、バッテリーの充電需要を自家発電で賄い、マイクログリッドの電力バランスをとりながら電気料金を節約することを目的としている。
 
SOJOの工場では、約7万m2の屋上太陽光発電設備で5.9MW、年間5.1GWhの電気が供給され、発電量の変動をスワップステーションで緩和することができる。バッテリー交換にかかる時間は、一台あたりわずか3~5分で、一日あたり50~80台のトラックが利用できる。
 
子会社であるJJ Xundian (杰捷迅電) は、太陽光発電パネルとスワップステーションを遠隔操作し、充電から放電に切り替える作業を支援している。
 
図7. 安徽省のSOJOスワップステーション
 
特筆すべき点として、太陽光発電とデジタル管理プラットフォームは、SOJOの子会社によって提供され、SOJOのスワップステーションとスムーズに連携できることが挙げられる。しかしながら、中国ではスワップステーション建設業者のほとんどが、分散型発電装置やエネルギー・マネジメント・システムを自社開発したり、自社配備をする能力を有していない。だから、スワップステーションに、付加価値を付与するアンシラリーサービスは、再エネ・電力マネジメント関連プレイヤーが、バッテリー交換式トラックの機運に乗じる理想的な市場参入セグメントとなりうる。
 
中国におけるバッテリースワップ方式のボトルネック
 
しかし、スワップステーションのソリューションの発展には、依然として複数のボトルネックが存在する。そのひとつがバッテリースワップの規格統一がなされていないことである。下図のように様々なプレイヤーが参入し、各々のやり方でスワップステーションを開発した為、互換性がなく、EVトラック・ユーザーは特定業者のスワップステーションしか使えないという不便を強いられている。それゆえ、バッテリー交換式トラックのアプリケーション・シナリオは限られている。これまでのところ、バッテリー交換式トラックが走行できるのは、狭い地域内や、スワップステーションが設置された固定ルートのみである。
 
図8. OEMによるバッテリー交換式トラックの市場シェア
 
現在、中国電気大型トラック電力変換産業促進連盟(中国电动重卡换电产业促进联盟)は、長距離輸送におけるEVトラックの普及促進を目的として、2025年までに5,000カ所(推定)のスワップステーションのバッテリースワップの規格統一に取り組んでいる。設立委員会の一員である中国汽車工業協会(中汽协) は、2022年に団体規格 「電動中型・大型トラック用共用バッテリースワップステーションの建設とバッテリー交換式車両に関する技術仕様」(电动中重型卡车共享换电站建设及换电车辆技术规范) を導入した。
 
建設コストが高いこともボトルネックとなっている。スワップステーション1カ所の建設コストは、乗用車の場合で約100万~200万人民元、大型EVトラックの場合で約2,300万~2,500万人民元である。スワップステーションの建設コストを抑えるには、電気自動車と送電網を統合するVehicle-Grid Integration (VGI) を用いた運営がカギとなる。
 
VGI:スワップステーションのコスト削減
 
中国では、Vehicle-Grid Integration (VGI) は、スマート充電にとどまらず、ビークル・トゥー・グリッド (V2G) やスワップステーション・トゥー・グリッドも意味する。このコンセプトでは、バッテリーが、外部エネルギー源となり、送電網の電力を補ったり、周波数を調整することをサポートする。2030年までに電気自動車を8,000万台に引き上げる計画を考慮すると、電気自動車のバッテリーとスワップステーションは、以下の3つの主要な方法で、グリッドシステムの安定化に重要な役割を果たすことができる:
 
  1. 負荷変調は、中国全国でユニークかつ最も注目されるアンシラリーサービスである。これまで、スマート充電/V2G負荷変調の実証プロジェクトは、グリッド事業者を中心に複数実施されている。
  2. 周波数変調は、V2Gプロジェクトで実用化されている。
  3. 長期的には、EVでリザーブキャパシティを確保できるが、現在の実証規模には限界があるため関連プロジェクトは存在しない。
 
図9. VGI (Vehicle-Grid Integration)における3つの主要な方法
 
2022年以降、グリッドシステムによる停電や送電圧力の緩和を目的として、乗用車向けスワップステーションを含むVGIの事例が複数現れている。近い将来、大型EVトラックのセクターにおいてもこのようなプロジェクトが実現することが予想される。
 
VPPにおけるNIOのスワップステーション
2023年5月、NIOのスワップステーションは、安徽省合肥市で開催されたバーチャルパワープラント (VPP) のイベントに参加し、パワーステーションのような蓄電システムの役割を果たし、グリッドにアンシラリーサービスを提供し追加収益を上げた。
図10. VPPにおけるNIOのスワップステーションの概要
 
合肥国家電網の電力給電センター(PDC)の下で、2020年2月からVPPが開始され、太陽光発電所、EV充電/スワップステーション (NIOによる)、蓄電システム、商業ビルなどで総容量は、220MWとなっている。
 
2023年5月のVPPイベントでは、5日間で合計5MWの負荷を調整した。NIOの15カ所のスワップステーションにはそれぞれ13台のバッテリーがあり、600~700kWhの蓄電容量を確保している。VPPの指示を受けると、利用可能なバッテリーは15秒以内にグリッドシステムに迅速に対応し、周波数変動を抑えて50ヘルツ前後を維持した。その結果、各スワップステーションの充電電圧は630kWから530kWに下がった。このプロセスは5~10分続木、充電時間を3分延長することになったが、EVユーザーのバッテリー交換に影響を与えることなく成功した。
 
このアンシラリーサービスの提供により、NIOは追加収益を得ているがその額は公表されていない。参考として、浙江省が2023年に最大8人民元/kWhのVPP補助金を提供しており、また、安徽省が、2022年にデマンドレスポンスに対して1回あたり8~12人民元/kWの補助金を有していることを考えると、これが同省のVPP補助金水準に匹敵するのではないかとみられる。
 
図11. 合肥市政務区にあるRed Star Macalline (紅星美凱龍) のNIOのスワップステーション
 
合肥市の3カ年計画によると、VPPは将来、同市の夏期負荷の20%にあたる4GWを賄うように規模を拡大する予定で、これは80万kW級の従来型発電所に相当する。その中で、スワップステーションは今後、柔軟性と信頼性の高いエネルギー源の一種になるだろう。
 
スワップステーションへの補助金
 
投資家や運営者のスワップステーションの資金面での負担を軽減する目的で、建設や運営の面で補助金を出している都市もある。建設向け補助金は、スワップステーションの場合、300人民元/kWから600人民元/kW (≦100万人民元/ステーション)、または総投資額 (100万人民元/ステーション) の30%の払い戻しでなどで、1回限りであることが多い。これに対し、運営補助金は通常、年間充電電力量 (kWh) に基づき、例えばスワップステーションでは1,500人民元/kWとなっている。
 
図12. 中国におけるスワップステーションの補助金とアンシラリーサービスの機会
 
2023年6月現在、スワップステーションは主に幹線沿いの交通拠点都市で公的に整備されている。こうした都市や省は、コスト削減の観点から、スワップステーションの投資家や運営者にとって適した場所かもしれない。サードパーティ向けのアシラリーサービス市場分布と比較すると、浙江省、四川省、山東省、内モンゴル自治区、吉林省がスワップステーション事業の優先地域と考えられ、こうした地域での発展を中心に、今後も注目をしていきたい。
 
この記事の内容にご関心のある方は、以下のデータベースもご参照ください。
2. ポッドキャスト: "Episode 2: VPP in China: Is it a good bet?"
 
[References]
1. CVworld. 2023.8.9. 立足全场景,赋能新科技!福田欧曼智蓝底部换电重卡推出一体化解决方案
2. Sohu. 2022.11.19.为什么纯电动车到了冬天续航就短,充电速度也变慢?
3. News. 2022.7.23. 全球连线|中国探索高寒地区新能源车发展新模式
4. SEVC. 中国电动重卡换电产业促进联盟
5. Chinaautoms. 2023.3.30. 重卡换电联盟李立国:重卡换电互换标准进程和趋势
6. catl. 2023.6.12. “骐骥”志千里
7. 21jingji. 2023.4.16. 21汽车视频|实测蔚来第三代换电站 效率体验升级背后开放共享并不乐观
8. 36kr. 2023.6.15. 重卡换电,新能源市场的下一个好故事?
9. cpnn. 2023.5.24. 国内首个“5G+量子”技术全面融合!合肥虚拟电厂再升级
10. 163.com. 2023.8.17. 26条!全国各省电力需求侧响应补贴政策精编
11. bjx. 2023.7.24. 两小时收益可超万元!虚拟电厂走进现实
12. nengyuanjie. 2022.8.26. 重磅 | 合肥首座“光储充换”新能源重卡换电站投运
 
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