調査実績
  • 水素クレジットの可能性を探る:中国企業による水素エネルギーエリアにおける炭素クレジット先行事例
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    まとめ
    1. 中国における2件の水素プロジェクト (再生可能水素製造プロジェクト、水素燃料電池物流トラックプロジェクト) が、国際的なカーボンクレジットの発行を目指し、クリーン開発メカニズム (CDM) に申請している。また、水素燃料電池商用車プロジェクトも、中国国内でのCCER(中国認証排出削減量 ) の発行を目指している。
    2. 水素クレジットの発行者は、グリーン水素製造業者、水素燃料電池車オペレーター、自動車エンドユーザーと川上から川下で各存在し、様々な排出削減量のベースラインに基づいて、事業を展開しようとしている。
    3. 水素クレジットは、単体で販売されるもの (アンバンドルクレジット) と、水素とセットで販売されるもの (バンドルクレジット) がある。発行者は、クレジットを単体で販売する際には、クレジット償却者と物理的水素製品の購入者のダブルカウンティング(二重計上)に、特に注意する必要がある。


  • 中国水素燃料電池車の動向:モデル都市群プロジェクト1年目終了、その成果は
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    まとめ
    燃料電池車モデル都市群プロジェクト実証の初年度にはさまざまな壁があったが、上流のグリーン水素製造から下流のFCEV OEMまで、この業界に参入するプレイヤーが増えつつある。実証期間2年目には、景気刺激策となる各種補助金政策の継続的な導入により、FCEV関連プロジェクトの実行が加速され、資本市場の後押しもあり、業界は引き続き比較的急速な成長の勢いを維持するだろう。例えば、2022年に新型コロナウイルス感染症の流行が終息した後、FC大型トラックの推進数が大幅に増加し、特に河北省と河南省では実証目標に追いつくほどの速いスピードを見せている


  • ESCO事業者として中国EMS市場に参入する上での技術的優位性
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    まとめ
    1. カーボンニュートラルや省エネルギー関連の政策、コスト削減ニーズ、社会的推進要因が、中国におけるEMS導入を後押ししている。中国のEMS市場は、2022年の総市場規模が約95.7億ドル、2020年から2025年までの年平均成長率が19.5%と、かなり期待できる。
    2. 海外のEMSサプライヤーは、プログラマブル・ロジック・コントローラ (PLC) や可変周波数ドライブ (VFD) のようなコンポーネントにおいて、中国のサプライヤーに比べ、一部のパラメーターで明白の技術的優位性を示すことで、中国のEMS市場に参入することができる。
    3. 統合ソリューション提供能力を持つ海外のEMSサプライヤーは、EMSに適したビジネスモデルであル、ESCO (Energy-saving Service Company)形態をとることで、中国市場に上手く参入することができる可能性がある。


  • 中国、グリーンスチールへの道:各製法における機会
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    まとめ
    1. CBAMや米国・EU間のグローバルアレンジメントなどの国際政策は、中国の鉄鋼輸出ビジネスの低炭素化を一層加速させる可能性が高く、現時点では即時の影響は小さいものの、鉄鋼輸出業者は長期的な影響を十分注視する必要がある。
    2. 中国の鉄鋼メーカーには、脱炭素において、主に3つの選択肢がある。その中で、EAF方式が最も早く導入されるだろう。EAF方式による製鉄の比率は、2025年までに15%、2030年までに20%を超えると予想される。水素還元法や水素DRI法はその後に、実用化され大きな可能性を秘めている。
    3. 中国には築年数の浅い高炉が多く、短期的に水素DRIやEAF方式に移行することは経済的ではない。そのため、CCUS、バイオマス、水素還元法などの新技術にも可能性がある。
    4. 中国は石炭資源が豊富だが天然ガス資源は不足しているため、水素還元法や水素DRIに注入するガスとして、コークス炉ガスが主に使われている。これによりコストは下げることができるが、排出削減効果はあまり期待できない。将来的には、グリーン水素が使用され、それに伴い分散型発電装置、水電解などのビジネスチャンスが生まれることが期待される。